採用担当者が知っておくべき労働法の基礎知識

企業が適切な採用活動を行うためには、労働法の基本を理解しておくことが不可欠です。この記事では、採用業務に関わる人事・採用担当者が知っておくべき労働法のポイントをわかりやすく解説します。

労働契約の基本を押さえる

採用活動において法的なトラブルを防ぎ、円滑に人材を確保するためには、まず労働契約の仕組みや成り立ちを正しく理解しておくことが不可欠です。採用のタイミングや契約の成立条件、契約内容の明示方法など、基本となる知識が不足していると、後のトラブルやリスクにつながる可能性があります。

● 労働契約の成立タイミング

労働契約は、書面によらず口頭でも成立します。内定通知書の発行や採用面接での合意内容が、契約成立とみなされる場合もあります。トラブルを防ぐためには、採用時に労働条件通知書を交付し、労働時間・賃金・勤務地などを明記しておくことが重要です。

● 労働条件通知書の交付義務

労働基準法第15条では、使用者が労働者を雇い入れる際、賃金や労働時間などの条件を書面で通知する義務が定められています。これにより、採用後の認識違いを防ぎ、法的なトラブルを回避できます。近年では、電子交付も認められており、ペーパーレス化も可能です。

● 試用期間と本採用の違い

試用期間中でも労働契約は成立しており、労働者としての権利があります。安易に解雇すると不当解雇とされるリスクがあるため、合理的な理由と客観的な評価が必要です。本採用の可否についても、事前に明示しておくことが望まれます。

採用活動で問われる公平性と法令遵守

採用活動においては、性別・年齢・出身地などに基づく不当な差別を行わないことが法律で定められており、採用段階から法令の厳守が求められます。違反があった場合、企業の社会的信用を損ねるだけでなく、法的責任を問われる可能性もあるため、面接や求人票の表現にも十分な配慮が必要です。

● 男女雇用機会均等法の理解

この法律では、採用において性別を理由とした差別が禁止されています。求人票における性別指定や、面接での結婚・出産に関する質問は違法となる可能性があります。採用基準はあくまで職務遂行能力に基づくべきです。

● 年齢制限とその例外

原則として、求人募集において年齢制限は設けられません。ただし、長期キャリア形成を目的とする場合など、一定の要件を満たせば例外も認められます。募集内容を策定する際は、厚労省のガイドラインを参照し、正当な理由を明確にしておきましょう。

● 個人情報の取り扱いに関する配慮

履歴書や面接で得た情報の取り扱いには個人情報保護法が適用されます。目的外利用や、第三者への漏洩は法令違反です。応募書類の管理体制や、保管・破棄方法についても明確にルールを設けておく必要があります。

派遣・紹介サービスの活用と法令遵守

人材派遣や人材紹介といった外部サービスを活用する際にも、企業側には遵守すべき法的ルールが定められています。派遣契約の内容や期間、紹介予定派遣の条件、労働者への指揮命令の在り方など、法律に則った適切な運用を行わなければ、行政指導や契約無効といったリスクを招く可能性があります。

● 派遣契約と労働契約の違い

人材派遣の場合、労働契約は派遣会社と締結し、指揮命令は派遣先企業が行います。一方、人材紹介は採用後に直接雇用となるため、採用前に契約条件を正確にすり合わせておくことが大切です。違法派遣を防ぐため、派遣期間や業務範囲に注意が必要です。

● 紹介予定派遣の法的要件

紹介予定派遣とは、一定期間の派遣就業後に直接雇用される前提の制度です。派遣開始前にその旨を通知する必要があり、原則6か月以内の派遣期間と定められています。企業側にも、採用計画の明確化が求められます。

● 適正な人材サービス会社の選び方

法令に準拠した運営をしているかどうかは、人材会社を選定する際の重要なポイントです。許可番号の確認や、職業紹介責任者の有無、過去の行政指導歴などをチェックしましょう。信頼できるパートナーと連携することで、法的トラブルを未然に防げます。

まとめ

採用担当者にとって、労働法の基本知識は不可欠なスキルです。労働契約の成立や労働条件通知書の交付、差別禁止規定の遵守、派遣・紹介サービスの法的理解など、実務に直結する知識を押さえることで、企業の採用活動はよりスムーズでトラブルの少ないものになります。法令に基づいた採用を実現するためにも、日頃からの学習と情報収集を継続しましょう。


厚生労働省に労基法についての情報も掲載されています。
厚生労働省 知って役立つ労働法
まずはここから必要な情報を入手しましょう。
ビジネスリファインでは人材のご紹介以外にも、求人票の書き方や面接のアドバイス(コンサルティング)も行っております。
人の採用でお困りの採用・人事ご担当者様はお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください!
お問い合わせフォーム

最新のお知らせ

採用情報
詳しく見る